子宮脱とは
骨盤の中にある膀胱や子宮、直腸などの臓器は、骨盤底筋群という筋肉や靭帯によって支えられています。この筋肉は、子宮などの臓器を固定したり、肛門や尿道を締めて漏れるのを防ぐ上で重要な役割を果たしています。そのため、骨盤底筋群の筋力が弱まることで支える力が弱まってしまうと、膀胱や子宮などの臓器が下がってしまうのです。このような状態のことを骨盤臓器脱や性器脱と呼んでいます。
子宮脱は、性器脱の中でも特に子宮そのものが下がってきた状態です。下がり具合が軽度で子宮が腟の出口から飛び出てこないものを子宮下垂と呼び、腟の出口から子宮が飛び出てきてしまった状態を子宮脱と呼ぶことが一般的です。子宮は腟の壁とつながっているため、子宮が下がれば当然腟の壁もめくれたように外に飛び出てきます。また、前側の膀胱も一緒に下がってきて腟の外に飛び出てくると膀胱瘤、後ろ側の直腸が飛び出てくると直腸瘤という状態になります。
子宮脱相談を行っています
当クリニックでは、子宮脱の相談を行っています。よくある相談が、お風呂で腰かけると何かピンポン玉のようなものがお股に触れるという症状でいらっしゃいます。特に下記のような方は子宮下垂や子宮脱のリスクが高いと言われています。気になる方は一度ご相談にいらしてください。
- いつも便秘で強くいきんで排便している人
- 多産の人(3人以上産んでいる人)
- 大きな赤ちゃん(3500g以上)を産んだことがある人
- 重いものを持ち上げたり立ちっぱなしのことが多い人
子宮脱の治療について
子宮が完全に腟の外に飛び出てしまっていたり、尿もれや排尿困難などの症状がある方は治療が必要となります。骨盤底筋訓練法などを行って骨盤底筋を鍛える筋肉トレーニングもありますが、この方法では脱出してしまった子宮を元に戻すほどの効果は期待できません。そのため、通常はペッサリーの装着か手術のどちらかを選ぶことになります。最終的に手術を行うかどうかは、子宮脱の程度や症状、年齢、持病の有無など全身状態、患者様自身の希望を考慮して決めます。
ペッサリーの装着
ペッサリーの装着は、腟の中にドーナツ型のペッサリーを挿入し、下から子宮を支えて位置を元に戻す方法です。腟の広さや緩み具合に合わせてペッサリーの大きさを調整します。適切な大きさのものを装着すれば、異物感もなく、性交渉にも問題はありません。ただ、長期間入れっぱなしにしていると、おりものや出血が増えたり炎症を起こすことがあるので、定期的に病院で腟内の消毒やペッサリーの入れ替えを行う必要があります。