子宮筋腫とは
子宮にできる良性の腫瘍(こぶ)のことを子宮筋腫といいます。良性の腫瘍で、こぶの大きさや数は様々です。女性ホルモンによって大きくなり、閉経すると小さくなります。
子宮筋腫の症状と治療
子宮筋腫の代表的な症状は、月経困難症、月経痛、過多月経です。月経時の出血量が多くなって貧血になる場合もあります。自覚症状がなく、筋腫が大きくなるまで気づかないケースもあります。子宮の外側にできる漿膜下筋腫は無症状の場合が多いのですが、子宮の内側にできる粘膜下筋腫は小さいものでも過多月経や貧血になりやすい傾向があります。子宮筋腫は原則良性の疾患ですが、注意点として、子宮筋腫で経過観察していく中で急激に増大したり、出血が持続したりするケースの中に区別が難しい子宮肉腫という悪性の疾患が隠れていることもあるために定期的な観察は必要です。
治療法に関しては、薬物療法と手術療法があり、筋腫の状態や発生部位、症状、今後の見通し等によって治療方針が決定します。確定診断は手術で摘出した筋腫を顕微鏡の検査で行います。
卵巣腫瘍とは
卵巣腫瘍は、卵巣にできる腫瘍の総称です。色々なタイプがあり、液体が溜まったような良性の卵巣嚢腫もあれば、悪性の卵巣がんもあります。多くは良性腫瘍ですが、悪性のケースも約20%ほどあると言われており、若い女性から年配の女性まで、あらゆる年齢層で発生する可能性があります。検査法としては超音波検査や採血検査(腫瘍マーカー検査)、MRI検査があります。大きさとしては約6cmを超えると、捻じれて激烈な疼痛で緊急手術になるケースもあり、良性疾患でも、大きさや、経過によっては手術をお勧めしております。ただし、悪性が疑われる場合は確定診断と病巣を除去するために手術は必須になります。手術が必要になる場合はご紹介いたします。
卵巣嚢腫
卵巣嚢腫は、多種にわたり、主に漿液性嚢腫、粘液性嚢腫、皮様嚢腫、チョコレート嚢腫が多く見られます。このうち漿液性嚢腫は、卵巣から分泌される透明の液体が溜まった腫瘍であり、年齢を問わず卵巣嚢腫で最も多いタイプです。 粘液性嚢腫は、ゼラチン状の粘液が溜まった腫瘍であり多房性に見られることが多いです。皮様嚢腫は、胚細胞にできる腫瘍であり、歯や毛髪などの組織が含まれた物質が溜まります。20~30代の女性に多く見られます。 チョコレート嚢腫は、子宮内膜症が卵巣内に発症したタイプであり、月経痛を訴える女性に多く認められます。
卵巣がん
卵巣に生じる悪性腫瘍です。小さいうちは無症状に経過することが多いため、たまたま受けた子宮がん検診で発見されるケースも少なくありません。進行するにつれて下腹部の腫瘤を自覚するようになり、この段階では婦人科を受診するようになります。腫瘍がさらに大きくなると、骨盤内のほかの臓器を圧迫して、下腹痛、腰痛、便秘、排尿トラブルなどを引き起こします。また、病変の進み具合によっては腹水や胸水が溜まり、同時に栄養の摂取不足を伴って、次第に体重減少や体力の消耗をきたすケースも珍しくありません。
子宮内膜症とは
本来は子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜や子宮内膜様の組織が、何らかの原因で子宮内膜以外の場所で増殖する疾患です。卵巣や卵管、子宮周囲の腹膜などに広がり、月経のたびに出血を繰り返すようになります。原因は不明ですが、月経時に剥がれ落ちた子宮内膜の一部が、卵管を逆走して卵巣や腹部臓器に到達して増殖するという説が有力視されています。子宮内膜症の代表的な症状は、ひどい月経痛であり、年齢とともに強くなっていく傾向があります。子宮内膜症は卵巣にできるとチョコレート嚢腫、子宮筋層内に発生すると子宮腺筋症といった名前で呼ばれます。チョコレート嚢腫は良性疾患ではありますが、時に悪性に転じることもあるために、年齢(40歳以上)や、大きさ(4㎝以上)などで注意を要します。検査法としては超音波検査や採血検査(腫瘍マーカー検査)、MRI検査があります。治療に関しては、手術療法と薬物療法(子宮内膜症治療薬、低用量ピル等)がありますので、患者様の状態、妊娠の希望の有無などを伺った上でご相談していきます。